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悪質な省エネリフォーム勧誘に注意

ここ数年の住宅に関わる法律改正を悪用して、強引な省エネリフォームを行おうとする事業者が増えることが懸念されています。どのような背景で、どのようなトラブルが心配されているのかを紹介します。

 

 

◎目次

・国土交通省と消費者庁から注意喚起

・一定の省エネ性能が義務付けられるのは「新築」の場合

・メリットの多い省エネリフォームは信頼できる工務店やリフォーム会社に頼むこと

国土交通省と消費者庁から注意喚起

「国の制度改正で省エネリフォームが義務化された。ご自宅のリフォームが必要です」と、勧誘するリフォーム事業者があり、住宅リフォーム・紛争処理支援センターの窓口に相談が寄せられています。実際には、省エネリフォームは義務化されていません。これは、ここ数年の住宅に関わるさまざまな法改正を悪用した悪質な勧誘手口。国土交通省と消費者庁が共同で、悪質なリフォーム事業者に注意するよう呼びかけています。

 

国土交通省・消費者庁からの注意喚起

 

 

 

一定の省エネ性能が義務付けられるのは「新築」の場合

省エネリフォームに関する悪質な勧誘が心配されている背景には、2022年6月に「建築物省エネ法等改正案」が可決・成立したことがあります。これは、これまでオフィスビルなどの建築物に適用されていた省エネ法が、住宅を含む全ての新築建築物に義務付けられるというもの。2025年以降に建てられる全ての新築住宅や建築物は一定の省エネ性能をクリアしていなければならなくなったのです。

これは、あくまでも「新築」の場合。ですから、すでに建っている住宅に「省エネリフォームが義務付けられた」とやってくる事業者の営業トークは嘘なのです。

 

そのほか、東京都では2025年4月から新築の戸建てに太陽光発電システムの設置を義務付ける条例が可決されました。ニュースなどで話題になったため、「これからは太陽光発電パネルを設置しなければならないのか」と思った人も多いでしょう。しかし、これはあくまでも一定の条件に当てはまる大手ハウスメーカーを対象にした条例。個人やリフォームへの義務ではありません。

 

また、全期間固定金利の住宅ローン「フラット35」は、2023年4月以降の設計検査申請分から、全ての新築住宅は省エネ基準への適合が必須になります。

 

このように、「省エネ」「義務化」「住宅」などの言葉が飛び交っている状況を悪用して、義務ではない不要なリフォーム工事を高額で契約させようとする被害が増えることが予想されています。

 

メリットの多い省エネリフォームは信頼できる工務店やリフォーム会社に頼むこと

省エネリフォームそのものは、とても大きなメリットがあるものです。断熱性が向上することで光熱費は削減できますし、家の中の温度むらがなくなることで快適なうえ、ヒートショックの防止にもつながります。エネルギー消費量が減ることは二酸化炭素の発生も抑えますから環境にやさしい暮らしの実現にもなります。ですから、古くなった今の住まいをリフォームするとき、中古住宅を購入してリノベーションをするとき、省エネリフォームを行うことはおすすめです。

 

ただし、強引に契約を迫る悪質な事業者に施工を依頼すると高額請求や施工後の不具合などさまざまなトラブルに見舞われる可能性があります。絶対にその場では契約をしないことが大切。そして、必ず、複数のリフォーム会社に相談し、相見積もりをとって慎重に検討することが必要です。今住んでいる家をリフォームするなら、その家を建てた会社に相談してみるのもいいでしょう。ハウスメーカーにはリフォームに対応する部署があるケースや、リフォーム専門会社がグループ企業にあるケースが多くあります。

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田方 みき

住宅系ライター

田方 みき

広告制作プロダクション勤務後、フリーランスのコピーライターとして活動。
現在は主に、雑誌・Webで住宅にかかわる記事の取材、編集、執筆に携わる。
主な著書に『家づくりのお金の話がぜんぶわかる本』(エクスナレッジ)

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