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実家を二世帯住宅にリノベーション。資金計画の注意点は?
親が住んでいる実家に、子どもたち家族が同居することにした場合、水回り設備を増やしたり、間取りを変更したりなど、リノベーションをするケースは多いでしょう。その資金を、親が負担する場合、現金での支払いなら問題はないのですが、借り入れを予定しているならいくつか知っておきたい注意点があります。
◎目次
・そもそも住宅ローンが借りられないことも!
・親が住宅ローンを借りる場合、短期返済では返済負担が大きい
・子どもが将来、親のローンを引き継ぐ親子リレー返済なら大丈夫?
そもそも住宅ローンが借りられないことも!
住宅を買ったり建てたりしたときに借りる住宅ローンは、リフォームやリノベーションの資金を借りる際にも利用できます。しかし、住宅ローンを借りるためには、金融機関の審査を受けなければなりません。国土交通省の調査によれば、多くの銀行が融資の審査の際に考慮するのは「完済時年齢」「健康状態」「担保評価」「借入時年齢」「年収」など。
つまり、住宅ローンは申し込み時の年齢に上限があるのが一般的。何歳まで借りられるのかは金融機関によって異なりますが、おおむね70歳未満、場合によっては65歳が上限となっています。リノベーションの費用を出そうとしている実家の親が、70代、80代という年齢の場合、住宅ローンを借りることは難しくなります。
また、住宅ローンを借りる際には、団体信用生命保険(団信)への加入が条件になっていることが多く、持病があるなど健康に問題がある人は審査に通らないこともあります。年齢を重ねると、持病を持つ人が多くなります。若い頃は簡単に借りられた住宅ローンが、持病のために門前払い、という話はよくあります。
高齢になると収入面でも不利。審査の際、重視される返済能力は、どれくらいの年収を、今後どれくらい長期間得られる人なのか、という点で判断されるもの。親が住宅ローンを借りようとしても、すでに現役を退いていて収入が少ない場合、借り入れ希望額によっては審査に通るのは難しいでしょう。
親が住宅ローンを借りる場合、短期返済では返済負担が大きい
実家の親がまだ50代や60代前半で健康状態も良く、収入がある場合、住宅ローンを借りられる可能性は大幅にアップします。しかし、注意したいのは返済期間。完済時年齢は80歳とされているケースが多いので、60歳で借りる場合は最長20年、50歳で借りる場合は最長30年。同じ金額を借りても、返済期間が短いほど毎月返済額は大きくなります。
例えば、金利1.0%で2000万円を借りた場合。返済期間30年なら毎月返済額は6万4327円。返済期間20年なら毎月返済額は9万1978円。返済期間が10年短くなることで、毎月の負担が毎月3万円近く大きくなります。また、50歳で借りられたとしても、住宅ローン返済が30年間も続けば老後破綻を引き起こす可能性が大。ローンの残りを一括で返せる当てがない限り、定年退職後も返済が続く資金計画は避けた方が良いでしょう。
子どもが将来、親のローンを引き継ぐ親子リレー返済なら大丈夫?
では、親の借りた住宅ローンの返済を、将来、子どもにバトンタッチする「親子リレー返済」を利用するのはどうでしょう。この場合、親の年齢が高くても一般的な住宅ローンの最長返済期間35年を選択することが可能になります。長期返済にできる分、毎月返済額を少なくすることもできます。これなら、親のローン負担が減らせ、子どもも二世帯住宅で同居を始めた当初は住宅費の負担がありません。良いアイデアのようですが、実は、子どもにとっては、将来確実にやってくるローン返済が徐々に精神的な負担になることがあるのです。年齢を重ねて年収が上がっても、住宅ローン返済でチャラになってしまう。また、住宅費の負担がなく余裕のある生活に慣れてしまうと、返済が始まった後の家計が苦しく感じてしまう…。親子リレー返済を利用するなら、親から子どもへ負担を手渡すことになる資金計画で大丈夫なのかをよく考えてからにしましょう。
「借りられない」「借りられても短期返済で負担が大きい」「親子リレー返済は、将来、子どもに負担になるかも」など、後ろ向きなことばかり書いてしまいました。では、実家を二世帯住宅にリノベーションする際、資金調達はどうすればいいのでしょうか。
ベストな方法はケースバイケースですが、実家の名義を子どもに変更し、子どもが住宅ローンを借りる。親は経済的に余裕がある間は子どもの返済をサポートする、というのも一つの選択肢です。次回は、子どもが実家を譲り受けて、リノベーションする場合のメリットや資金計画・税制面での注意点を解説します。
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住宅系ライター
田方 みき
広告制作プロダクション勤務後、フリーランスのコピーライターとして活動。
現在は主に、雑誌・Webで住宅にかかわる記事の取材、編集、執筆に携わる。
主な著書に『家づくりのお金の話がぜんぶわかる本』(エクスナレッジ)
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